第三者を交えた話し合いの重要性 ~スポーツ仲裁の重要性~

第三者を交えた話し合いの重要性 ~スポーツ仲裁の重要性~

1 SNSによる拡散が容易な社会における風評被害の問題
SNS等の広まりにより、スポーツの場に限らず、様々な場所でもめ事がおきた場合に、どのように解決を図るかというのは重要な問題になってきています。
すなわち、SNS等により、もめ事がおきているということ自体が直ちに広く拡散されてしまうことがあります。ひとたび拡散されてしまいますと、これを止めるのは困難ですので、もめ事を起こしているということだけでマイナスイメージを持つ人の印象が悪くなってします。
その場合、第三者は伝わってきた部分だけを面白半分で取り上げることが往々にあり、当事者にとっては、そのことだけでも大きな不利益ななることがあります。
もっとも、もめ事ですから、当事者だけではなかなか解決できないことはあると思います。

このような観点からも、もめ事が起きた時には、弁護士等の第三者が入って、解決を図るということは大事です。

2 スポーツ仲裁の意義
弁護士が介入したからといって、すぐに裁判ということになるわけではなく、まずは、話し合いをするのが通常です。
そこで、解決ができなければ裁判手続等に移行することになりますが、やはり、費用や時間がかかりますし、裁判官が判断するのに適しない事案もあります。
スポーツの分野において、このような場合に裁判に替わって利用されるのがスポーツ仲裁という手続です。

スポーツ仲裁は、スポーツ競技等をめぐる紛争を迅速に解決すること等を目的としています。
例えば、来月行われる大会の代表選手を選ぶ手続がおかしいので争いたいといった場合や、ドーピング違反があったといわれて来月行われる大会にでられないかもしれない、といった、すぐに対応しなければ、あとで間違っていたということがわかっても意味がなくなるような場面でも、迅速に対応してもらえる点に特徴があります。

もっとも、スポーツ仲裁も万能ではなく、この制度の問題点の一つとして、スポーツ団体等が、このスポーツ仲裁という手続でもめ事の解決を図るということに同意しなければ、スポーツ仲裁という手続を行うことさえできないという点があります。具体的にはあらかじめ、すべてのもめ事について、スポーツ仲裁に応じるという条項、いわゆる「自動応諾条項」を団体内で定めているかがポイントになります。
現在では、日本のほとんどの中央競技団体で、このスポーツ仲裁に応じるという仕組が導入されていますが、地域団体(例えば、「関東●●連盟」といった団体)等では、そもそもそういった手続に関する理解も進んでいないため、スポーツ仲裁に応じると明確に規定されていないことがあります。
この場合、スポーツ仲裁によってもめ事を解決するという手続自体減ることができないということがあり、この場合、選手にとってはもちろん、スポーツ団体側にとっても、好ましくない結果となってしまいっているのだと思います。

もっとも、最近では、上記のような地域団体等において、明確にこれに定めていない場合であっても、スポーツ仲裁の手続を行えることを示唆する裁判所の判断も示されています。今後は、従前よりスポーツ仲裁制度の利用が進むと考えられます。

スポーツに関連するもめ事等がありましたら、ぜひ、ご相談ください。

以上

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