負けるということ 『怪物に出会った日 井上尚弥と戦うということ』と『いまだ成らず 羽生善治の譜』を読んで
スポーツのある種残酷な面は、勝者がいる一方で、必ず敗者もいるというところだと思います。
私も応援している選手・チームが大事な試合で敗けてしまうとがっくりきてしまいますが、本人達がよりがっくりしているのは間違いありません。
この敗者の側に着目したノンフィクションが、『怪物に出会った日 井上尚弥と戦うということ』(著者:森合正範)と『いまだ成らず 羽生善治の譜』(著者:鈴木忠平)の2冊です。前者はそのタイトルからもわかりますが、井上尚哉に負けた(といっても現段階での対戦相手は、全員負けているわけではありますが)選手側へインタビューをして回るノンフィクション、後者も羽生さんに着目しているタイトルにはなっていますが(藤井総太とのタイトル戦に挑むという当時の状況も描かれてはいますが)、実際には羽生さんに負け続けてたきた側(といっても将棋の場合、全敗ということはありませんが)の棋士の棋士人生に着目した内容となっています。
ボクシングや将棋好きの人であれば間違いなく面白いので、是非、手にとってみてもらえればと思いますが、改めて感じるのは、いくら試合に負けようと、その後も競技者として、さらには競技を離れたところでの人生が続いていくため、その負けと向き合っていく必要があるということです。
アスリートの場合、これがわかりやすいタイミングになりますが、アスリート以外の人であっても、うまくいかないこと、失敗をすること、いやなことがいくらでもあるのが人生であり、そういった時にそれらとどう向き合っていくのか、そのヒントがこの2冊の本の中には含まれているような気がします。
私は、森合さん本人からこの本の制作過程についてお話をお聞きしたことがありますが、森合さんは井上尚哉本人と日本で一番というほどインタビューをしているにもかかわらず、この本の中には、井上尚弥本人から聞いた話が一切入っていないところにプロフェッショナルとしての矜持を感じました。
なお、これらの本の著者の対談をとりあげてたNumberのYouTube、他ににPodcastがあるとはいえ、再生されなすぎのような。
羽生善治と井上尚弥、作家はその「才能」をどう描いたのか?【対談:鈴木忠平×森合正範】
プロ野球選手、元サッカー日本代表選手等の個人・法人の顧問、トラブル相談等を多数取り扱う
著作:「アスリートを活用したマーケティングの広がりとRule40の緩和」(東京2020オリンピック・パラリンピックを巡る法的課題(日本スポーツ法学会編)
・一般社団法人スポーツキャリアアドバイザーズ 代表理事
・トップランナー法律事務所 代表弁護士(東京弁護士会所属)
・日本サッカー登録仲介人
・日本プロ野球選手会公認選手代理人
・日本スポーツ法学会会員