【本紹介】アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち

【本紹介】アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち

アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち 著:鈴木亮平
一人の熱意が生み出した球場。

この本を読んでいるときに感じたのは、1人の異常ともいえる熱意がエスコンフィールドという新球場を生み出したのだと感じました。

本書は全体としては、新球場の建設を目指す日本ハムファイターズ側を中心としつつも、日本ハム本社、候補地であった札幌市役所、北広島市役所の関係者それぞれの立場の思惑等を描いていますが、それらの中心にいるのは日ハムの担当者である前沢賢さんです。
既に札幌ドームという球場がある近くに(実際、新球場までは、直線距離で11キロほどしか離れていません)、新たな球場を作ろうというのであるから、札幌市を含む札幌ドーム側、札幌ドームの近くに住むファンはもとより、移転先の近隣住民等から相当の反発があること、莫大な費用の手当、万が一でも失敗した場合のリスク等、少し考えただけでも、建設に向けたハードルがいくつも容易に想定されます。

そんな中、著者は、前沢氏の描写を意識的に控えめにしていると思われますが、とにかくに日ハムにとって新球場を作ることがよいことであるという信念に一切ぶれがない様子が書かれています。
北広島市役所の人に対して、「(広島カープと重なる面があるため)北広島という地名を変えられないか」ということを、打診したのを冗談であったかのように書かれているが、本心は、変えられる可能性が少しでもあるのであればチャレンジしようという気持ちが裏にあったのだと思います。これぐらいの心意気がある人が中心になっていなければ、これだけのことは成し遂げられなかったのだろうと思います。

また、この本の秀逸なところは、北広島市の対応を善、札幌市の対応を悪というように、単純な善悪として書くこともできたであろうところ、それぞれの担当者の考え・苦悩を描いて、札幌市側を悪役にしていない点があると思います。
新スタジアム建設の決定に至るマスコミ報道からは、札幌市役所側が、まさか札幌市外を選ばないだろうという甘い考えで十分な対応をしなかった、という認識を持っている人も多くいるかと思います。
一方で、札幌市役所の中側の人、1人1人の立場からすれば、是が非でも札幌市市内に新球場を作りたいと思うのは当然のことで、市役所(市議会)という組織としての問題点が別のあるという点を描いているのがよいなと思いました。

本書でも書かれていましたが、年齢・性別等を問わず数十万人も集まるようなパレードというのは、スポーツ以外なかなかありません。スポーツというものが地域にあたえる影響力について、あらためて考えるきっかけになるという意味でも、素晴らしい本です。

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