スポーツ法学会第30回大会

スポーツ法学会第30回大会

先日行われたスポーツ法学会、第30回大会に参加してきましたので、ご紹介と簡単な感想を。

学会のプログラムはこちら

第1部 自由研究発表

1 「スポーツビジネスを素材とした民事法授業プログラムの開発」
質問で、@スポーツビジネスという名前の授業で、今どき受講者を集められるのか」という趣旨のものが。実際は結構受講者を集められてるそうですが、スポーツ界全体が危機感をもつべき話かと思います。

2 「慶應義塾體育會矢上部硬式庭球部におけるガバナンス強化の実践亊例」
競技能力が高い生徒の発言が強い影響力をもちがちというのは、日本では当たり前の感覚ですが、そもそも大学という学びの場ですし、目指しているレベルもそれぞれ違いますので、大事な視点だと思います。

3 「2023年から導入される韓国プロ野球(KBO) サラリーキャップ制度の概 要等と法的問題点等について」
サラリーキャップがいかに選手側のしめつけになるかというのが実感できるお話でした。一方で、選手会側としては究極の交渉材料とはなります(実際FA期間の短縮との引き換えだったそうです)、一度導入されていると撤廃は難しいと思いますので、悩ましい問題です。

4 「スポーツ競技団体における通報窓口について」
ウェブサイトで通報窓口がわかりにくいというのはあるあるではあります。
窓口が弁護士だと通報への抵抗があるというのはもっともな一方で、他に、窓口を担当するのに適切な人材の確保の方法、費用の問題が難しいのでは、企業の内部通報等と似た構造だと覆います。

5 「NF等の暴力相談・通報窓口への通報に関する法的論点のまとめ」
日本スポーツ振興センター(JSC)の相談窓口の活動をメディア等を使ってもっと発信してはどうかという意見は、私もそう思いますが、一方で、認知が広がると、企業と同じく、相手への嫌がらせだったり、実態が伴わない相談への対応への労力の問題が出てくるかと思います。

6 「イギリスにおけるスポーツ分野に関するDBS制度の意義と課題について」
スポーツに関して、子どもと関わることに不適切な大人を排除する仕組(DBS制度)の話。
こういったものを制度化するという発想がなかったので、なんとか日本でも導入を検討してほしいです。
先日、市民プールの更衣室でスマホをみていたところスマホの利用は禁止ですと言われて、私たちの想像がつかないところでも、子供への危険はあると感じています。

7 「JGREEN堺(サッカーナショナルトレーニングセンター)の事業分析 一公設置民営スポーツ施設の成功事例ー」
年間収入5億円、年間入場者数80万人を超えた年もあるという成功例。成り立ちからして特殊ではあり、簡単に真似はできないですが、知見を共有していけるといいかと思います。

第2部
スポーツ事故補償の在り方を考える

スポーツ事故は、被害者側にとっては一生の問題で、かつ、体育がある以上全ての人に起きうる問題ではありますが、交通事故等と比べれば、件数のケタが大きく違うため、なかなか補償が進みません。
現状、責任を逃れたい関係者がいる場合に、実質的には裁判以外の方法で、多少でも事実を確定する方法がないのは難しいところ。交通事故で、人身事故は基本的に全件、早い段階で、実況見分調書を作成しているように、スポーツ事故でも類似の制度をとりいれられると望ましいという話がありましたが、これはスポーツ事故に限らず、色々な場面であるとよいなと思います。

スポーツを行う皆様のために。スポーツに関するお悩みはなんでもご相談ください。 お問い合わせフォーム