競技中に衝突した事故に関する損害賠償請求が認められた事例

競技中に衝突した事故に関する損害賠償請求が認められた事例

本件は、東京地方裁判所において請求が認められなかったにもかかわらず、逆に、東京高等裁判所において通院慰謝料10万円(被害者は、通院慰謝料に加えて、「残業代の減少分」も休業損害として請求していましたが、確定したものではないとして認められませんでした)の請求が認められた事案です。

東京高等裁判所は、概ね次のとおり、判断しました。

「本件競技の参加者は、競技中、他の競技者らとの衝突を避けるように配慮することが当然に求められていた」

「スポーツ競技中であるからといって、自らの位置方向と付近の状況を可能な限り随時確認して、他の競技者との衝突を回避するように注意すべき一般的な注意義務が存在することを否定することはできない。」

「本件競技がスポーツの一類型であることからすると、そのルールないしマナーに照らし社会的に許容される一定範囲内の行動は違法性が阻却されると解し得るものの、親睦目的で行われた本件競技の前記の性質に照らすと、その範囲内となるのは、ごく軽度の危険や衝突にとどまるといわざるを得ない」

その上で、具体的には、

「リングに気を取られて、自分がどの方向に向かっているかを認識する余裕がないまま、被控訴人ゴール地点から約5メートル離れた他のチームの待機位置に向かってそれなりのスピードで走行した結果、控訴人の存在に気付くことなく衝突したのであり、このような状況下においては、いったん立ち止まる、あるいは速度を緩めるなどして周囲の状況を確認するなどの方法により、衝突を回避することが可能であったと考えられる」

「このような本件事故の態様に加え、本件事故の衝撃がそれなりのものであって、頭部を地面に打ち付けた控訴人は、脳震盪で意識が朦朧として動けなくなり、救急車で病院に搬送されたというのであるから、本件競技において、そのような勢いで他の競技者と衝突することが社会的に許容される範囲内のものとはいえず、違法性は阻却されない」

スポーツ中においても、他人に配慮する必要性があることを判断した裁判例です。

結論を10万円にすることでバランスを取っているようにも見えますが、話し合いで解決したいものです。

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